活動日誌

自治体セミナーに参加して

『くらしと自治 京都』(京都自治体問題研究所)に投稿させていただいた原稿です。

            京都大学大学院経済学研究科教授 岡田知弘 特別講演『TPPと地域経済・自治体』
                                     『「地方創生」政策の本質と地域再生の方向』  を聴講して

「グローバル化が私たちの生活を豊かにしてくれるのではないか…」大企業が牽引する大量消費社会に毒された現代人は、そう錯覚してはいまいか?
 2月に行われた市長選挙でも、投票者の多くが『景気・雇用』について関心をもっていながら現市長を選択した。私たちは庶民の目線で目指すべき経済社会のあり方を示せたか?私も市議会議員として自問自答をしてきた。
 岡田先生の講演は、しょっぱなから私の問題関心に応えてくれる内容であった。
「人間の生活領域は、歩ける範囲の半径500メートル圏内が基本となる。経済活動も同様」「『地域』があってはじめて国や世界があり、その逆ではない」
現代社会は、インターネットで買い物でき、自動車に乗って郊外の大型店舗へ、アミューズメントパークへと消費活動が行われるが、そのことによって歩ける範囲の地域経済を活性化させることはできない。「地域社会を維持する最大の経済主体は中小企業、業者、農家、協同組合、NPOそして地方自治体。それらの再投資力をつけることが重要」と言われた。
 にもかかわらず、安部政権は「既存の農家や中小企業による『地域再生』ではなく、規制緩和の利益を得た外部企業による新市場『創生』を根幹に置いた『地方創生』」という矛盾を推し進め、人口減少社会を全面的に打ち出して、「選択と集中」で地域を切り捨てる「市町村合併や道州制」を進めようとしている。また、TPPで多国籍企業が活動しやすい国をつくって、中小企業の利益や日本の農業を多国籍企業の食い物にしようとしている。まちづくりに「選択と集中」の視点を取り入れた「エコ・コンパクト都市構想」や規制緩和で大企業を誘致する「都市再生緊急整備計画」を進める現市政もこれに追随しているのだ。
京都市議会の2月予算議会の真っ只中だが、与党の議員は所得を上げるために、大企業の誘致をしっかりせよ!と当局をたきつけている。
前日銀総裁の白川氏は企業誘致の政策を「回転ドア」にたとえて、利益が上がらなければ撤退する企業誘致頼りでは、地域経済の発展はないことを指摘したという。
庶民の所得を増やし、景気を回復させるための方策について、大企業言いなりで進めた結果、足元の地域が壊れていっていることを、自民・公明与党政権は気づかなくてはならない。
地域内再投資、循環型経済を確立していくためには、住宅リフォーム助成制度や、町なか商店リフォーム制度、公契約条例、中小企業振興条例等で、農家、中小企業や業者の皆さんを中心にすえた政策こそ進められなければならないと、市政の進むべき道に確信をもった。

(更新日:2016年02月17日)